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今月号のコラム。

2024年06月25日 トピックス

抹茶の世界をもっと知る。

 

新茶の季節。

正直、収穫はもう終わりかも

しれないが

行って見ようと思い静岡県は

愛鷹を訪れました。

ここは何度も訪れた事がありお茶の収穫は何度か体験させて頂きました。

今回の目的は畑ではなく

お茶の加工を見てみたいと

思い一軒目のお茶屋さんを

訪ねてみました。

人影も見当たらないお店。

はて。今日はお休みかなと

思いつつ売店のドアを開けると、開いた。

奥で事務作業をしていた

娘さんがいらっしゃいませと

来てくれました。

売店には新茶のパッケージが

ずらりと並び色々と丁寧に説明をしてくれました。

忙しい収穫と加工はすでに終わり、一段落の現在だと聞き

やはり来るのが遅かったか。

お茶の取材は諦めようとがっかりだったが。

ならば、お菓子に使える

ほうじ茶の粉末と抹茶を粉末にしている現場を覗いてみたいと思い娘さんに訪ねてみました。

ほうじ茶の粉末か抹茶はありますか。

静岡のお茶は昔から煎茶がメインで粉末にしている生産者は居ないという。

でも僕は確かに静岡産のほうじ茶の粉末と抹茶を見たことがあると思い観光客が集まる

道の駅のような場所のお茶屋さんに行き調べてみる事に致しました。

とあるお店で

ほうじ茶の粉末はありますか。と訪ねると。

ここにありますよと。

商品棚を指差したので商品を

手に取り、さて。これがどこで作られているかが問題と思いつつ製造場所が静岡でなければ今日は訪ねる事が出来ない。

おそるおそるパッケージの

裏の製造シールを確かめると

「カネトミ深沢製茶」しかも静岡だ。

何とかなる。

早速、電話してみると電話口は主人であろうか。

聞いてみました。

あの。そちらで、ほうじ茶の粉末や抹茶を作っておりますか?

はい。うちで作っておりますよ。

願ってもない返答に。

あの…行ってもいいですか?

と訪ねると

今から猫を病院に連れて行かないといけないから

いいけど3時頃でもいいかな。

その返答に猫好きの僕としては、かなり、かなり親近感が湧きお会いする事が楽しみになってしまった。

3時を待たずに電話が入り

戻ったから来なよと。

高まる期待を背にナビを頼りに目的地を訪れてると。

ここか。

大きな作業場なのか、倉庫なのか。

そこには人の姿はなく

作業をされている様子もありませんでした。

あの。ここで本当にほうじ茶の粉末や抹茶を作られているのですか。

抹茶と言うと僕の勝手な想像では石臼が回り抹茶が粉末になるイメージで石臼はどこを見回しても見当たらない。

代表の深沢 英和さんは

ここで作っているよと。

え。どこでですか。

事務所の奥を指差し。

あそこで。

見せて下さい。

そう訪ねると。

作業場の現場は企業秘密で

申し訳ないが見せる事は出来ないと。

がっかりとした僕の顔をみて

深沢さんは

特別に見せて上げるよ。

ただし撮影はNG。

見る人が見れば機械の仕組みが分かってしまうから写真は撮らないでくれ。

それでも僕は嬉しかった。

本当にここで様々な粉末が作られ、しかもそれは

最高の企業秘密を目にする事が出来る現実に。

企業秘密の機械が置かれている奥へと案内されると

その機械が。

石臼のイメージからはかけはなれた機械で正直、これ?

それが正直な感想でした。

と言うより素人の僕には

どんな仕組みの機械なのかが

全く分からなかったと言った方がいいだろう。

深沢さんはお客の使う用途と好みによって抹茶の細かさを調整致しますと説明してくれました。

え。抹茶の細かさ。

今まで抹茶は抹茶で業者に注文をしていて細かさなんて 指定した事もないし

細かさなんて考えた事もなかった。

知識がないとは、それ以上の抹茶スィーツは作れないと

反省した瞬間でした。

その企業秘密の機械は代表の

深沢 英和しか触れる事が許されていない現実です。

それほど粉末にすると言う事はベールに包まれており

秘密の世界なのです。

なるほど。

生産者のほとんどは煎茶が主でなかなか粉末を作る生産者がいない理由に納得です。

深沢さんは突然

申し訳ない。

床屋の予約をしてあって行かなければならいから、ここら辺でいいかな。

まだまだお話しを聞きたかったのだが仕方がないと自分を納得させると深沢さんは

息子が今、加工場に居るから

着いてきてと。

お話しが聞けるかどうか不安であったが着いていくと

今、正に生産者達が沢山のお茶を運び入れていた。

お茶の収穫は終わったのではないのか。

そしてこの作業場とは何の作業場なのであろうか?

床屋に行くと行っていた深沢さんが丁寧に色々と説明を始めました。

今、運び込まれているお茶は

全て抹茶を作る為のお茶だよ。

足早にすぐ目の前の畑から

お茶の葉を摘んできて

ほら。

こちらが煎茶の葉。

今、運び込まれた葉はこれ。

陽があたらないようにネットをかぶせて育てたから色が濃いだろう。

え。

陽を遮ると色が薄くなるのでは?

違う。

違う。濃くなるのさ。

陽をあてて育てた葉を見て。

綺麗な濃い色は出ずに

どちらかと言うと。

黄色みがかかっているだろう。

これが煎茶の葉だよ。

収穫した葉はまず、ここに

全て集め葉が蒸れないように

下からは常に風が送られています。

続いて奥にどうぞ。

入った瞬間にサウナとほぼ同じ位にものすごい暑い場所へと。

ん。これは見た事がある。

正にこれは。

抹茶の葉を乾燥させる設備。

この設備を見るのは2回目。

僕は運が良いのか

ここの代表、富士山茶株式会社の森 光広さんが

普段は絶対に見せない場所だよ。ここは。

あのレンガの中は3階建てになっていて温度を変えて抹茶の葉を乾燥させているんだ。

抹茶と言えば京都。

このレンガの窯は京都の職人さんでなければ作れない窯で

京都から来てもらって作ったのさ。

外観からは分からないが

おそらく中は特殊な技術が

随所に使われているのだろうと感じました。

ここの抹茶は富士山抹茶として世界中で高い評価を得て

供給が間に合わないほどらしい。

ならば、もっともっと生産者を増やしてどんどんと製造すれば良いのでは?

ここで製造される抹茶は全てオーガニックで世界基準の

JASを取得した茶葉だけを

使っております。

この認定を得るには3年の歳月が必要で需要があるからと言って生産者は直ぐには今までのやり方を変える事は難しい現実があります。

だって3年後には売れるかも知れませんが、それまでの間の収入を考えればおいそれと決断は出来ないでしょう。

さて。

レンガ窯の最終工程には深沢さんの息子さんがパリパリに乾燥し仕上がった茶葉をチェックしておりました。

あの。

これ、味見してみてもいいですか。

どうぞ。と息子さんは差し出してくれました。

試食してみると、角なエグミ、苦味はなく優しい抹茶の風味だけが伝わってきました。

僕は粉末にする前の抹茶を味わって。

これを使わせて下さい。

譲って下さい。とお願いすると。

きょとんとした顔で。

これを?

そう。これは商品になる前の非売品だからです。

はい。これを使って料理を作りたいです。

僕は味わった瞬間に、その優しい風味は新しい抹茶の表現になると感じたのです。

ステーキに合わせれば肉の風味を壊すことなく肉の美味しさを引立ててくれます。

シーフードにつけて焼いたり揚げたりしても臭みが消え

風味豊かになり素材の味わいを引立てくれます。

息子さんは僕に色々な事を教えてくれました。

彼は今まで出会った事がないほどお茶への探求心と知識の持ち主でした。

彼は僕に。

抹茶の出来は畑以外にどんな事で変わると思いますか。

僕に教えてくれました。

抹茶の出来、味わいは毎年、変わります。

変わると言うよりは同じものは作れません。

そもそもの畑での茶葉の出来。

そして一番、味わいを深め加えているのは、レンガ。

レンガ?

そうです。

レンガの窯のレンガです。

えっ。

レンガが何の関係があるのか?

レンガの窯を通して茶葉を乾燥させる。

レンガの窯は使えば使うほど

古びレンガの香りが変わっていくと言う。

その香りが茶葉に移り抹茶の風味を変えていく。

だから同じ味わい風味の抹茶は出来ないと言う事です。

新しいレンガより使いふるしたレンガの方が茶葉に深味を与えるのです。

まるでワイン樽のようですよね。

そして抹茶にもランクが御座います。

ここの抹茶シャトーで言えば

一号。

宝永山。

値段は約、倍違います。

なぜ、そんな違いが出るのか。

答えは一般畑で収穫された茶葉と一級畑で収穫された茶葉との差です。

一級畑。

これも、まるでワイン畑のようですよね。

ワインであれば畑がある環境と場所になります。

抹茶もそうなのであろうか。

ワイン畑とは違い持って生まれた環境ではありません。

毎年、毎年。どこまで手入れをしているかの違いです。

畑にどこまで肥料を加えたか。

肥料を加えた宝永山、一級畑の茶葉は味わいは、より抹茶の風味が高く、味わいも濃く、深いです。

同じ抹茶でもランクがあり

味わいも違う。

さらに抹茶とは言えない抹茶、粉末緑茶も存在致します。

早く言えば回転寿司の粉末茶です。

この粉末茶もランクが高い

粉末緑茶なら抹茶に近く

さて。

作る側も食べる側も抹茶として出されたら分かるであろうか?

しかも並べて比べる事なく

抹茶と言って出されたら

もはや見破る事が出来るのは

果たして何人居るであろうか。

黒い小皿に抹茶と粉末緑茶を

並べてみました。

どうですか?

どちらが抹茶か分かりますか?

  1. こうして並べて比べれば色の違いから、なんとなく左手が抹 茶と気付くかたも居るであろうと思いますが

右手だけを見せられて味わって、この抹茶と出されたら

これは粉末緑茶と気付く人は何人居るであろうか。

抹茶とは。

最高峰の学び素材で

学べば学ぶほど

知れば知るほど

なんだか楽しく抹茶メニューを考案する事が出来るのでは

ないでしょか。

日本古来からある抹茶ではあるが抹茶の未来と可能性と

新たな抹茶スィーツはこれから歴史が刻まれるのではないでしょうか。

歴史ある最先端素材。

それが抹茶です。

 

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