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今月のシェフコラム

2021年10月02日 トピックス

こちらの記事は毎月グルメギャラリーで掲載されているシェフの連載コラムの内容になります。

薩摩芋のプロが作る薩摩芋。

薩摩芋の季節。
様々な品種、種類があります。
色で言えば白、オレンジ、紫、黄色。
私的に正直、あまり興味がない素材でした。
その理由は15年前以前のフランス料理店を訪れる客層の中には戦時中、戦後を経験したお客様もまだ少なくはありませんでした。
私は勿論、戦後をはるかに過ぎた世代。
特に薩摩芋に対しての思いはなく薩摩芋を何の抵抗もなく食べていたし、料理も作っておりました。
しかし、15年前以前ご年配のお客様に薩摩芋料理を出した時、薩摩芋は食べたくないと言うお客様の声が少なくはなかったのです。
そう。薩摩芋は食糧難の頃の主食で薩摩芋はありがたみがなかったのです。
もう一つの理由はコース料理を提供する料理店では満足感が高くお腹にたまる薩摩芋は使いづらいというのもありました。
秋になると、どこの道の駅にも薩摩芋の姿は目にします。
そう。どこの地域でも薩摩芋は栽培されているし栽培する事が出来るのです。
質を追求しなければ何処にでもある素材です。
では産地の薩摩芋は何が違うのか?
関東で有名な産地、埼玉県は三芳のさつまいも街道に行ってみました。
いつものように当てずっぽうのアポなし取材。
たまたま訪れた農園は高橋農園さん。
他の農園さんとは違いカフェもなければ特に薩摩芋を並べ販売している派手な様子はない農園で奥に収穫された薩摩芋が籠に積み上げられておりました。
そこで作業する人に声をかけてみました。
農園の11代目頭首の高橋 敦士さんと奥様でした。
あの。薩摩芋を探しに来たのですが。
奥様が籠に積み上げられた薩摩芋の説明をしてくれました。
これはこんな特徴がある何々です。
味はこんな味がする薩摩芋です。
一つ一つ丁寧に説明してくれました。
紅はるか。シルクスイート。ハロウィンスイート。ふく紫など確か五六種類の薩摩芋はあったでしょうか。
すると旦那様が薩摩芋の選別をしながら私に裏の畑を宜しければ見て下さいと。
願ってもないお言葉に甘んじ
裏の畑へと行ってみました。
広い畑の奥に林が。
奥様が説明してくれました。
ここで収穫された薩摩芋は川越薩摩芋と言いまして江戸時代から栽培が行われております。
栽培の特徴は奥に見える林から落ち葉を集め畑の堆肥にしております。
なるほど。
野菜畑に落ち葉の堆肥は珍しいですね。
果物畑なら聞いた事があるのですが。
確かに畑の土はさらさらで
これなら薩摩芋は大きく育つ環境だと感じました。
今年は豊作で、いつもなら出てしまう形の小さな薩摩芋。
いわゆるB級品は少ないそうです。
畑を見終わると旦那様が
こちらも見て下さいと隣の土蔵らしき建物に案内してくれました。
入って直ぐになにやら見たこともない装置が。
はて。冷蔵庫にも見えるが。
扉を開いて頂くと。
サウナのように蒸し暑い中に薩摩芋がある。
こんなに湿気がある熱い所に薩摩芋を入れたら腐ってしまうのではないかと思っていると。
なんと思っていたのとは反対にこの中で薩摩芋を殺菌していると言う。
そして殺菌した薩摩芋を大きな冷蔵庫に移し薩摩芋の美味しさを引出し保っているのです。
薩摩芋は全国各地で栽培され
地野菜として道の駅などで
販売されておりますが
薩摩芋を専門に作る産地では
薩摩芋栽培に対する本気度が違う。
薩摩芋の為に大きな設備投資し本気で取り組んでいる姿は
産地の薩摩芋プロフェッショナルが成せる技の美味しさです。
さつまいも街道、高橋農園さんの薩摩芋は最高に美味しい薩摩芋でした。